離婚後の子の養育に関する民法等改正(共同親権等)
更新日:2026年01月09日
改正法の概要
令和6年5月17日に、父母が離婚した後もこどもの利益を確保することを目的として、民法等の一部を改正する法案が成立しました。
この法律では、父母が婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを養育する責務を負うことが明確化されており、令和8年4月1日に施行されます。
民法等改正の詳細については、国(法務省・こども家庭庁)のホームページやパンフレットをご確認ください。
【法務省ホームページ】民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について
【こども家庭庁ホームページ】ひとり親家庭のためのポータルサイト
この民法改正のポイントは以下のとおりです。
1.親の責務に関するルールが明確になりました
今回の改正で、親がこどもに対して負う基本的な責任と、親同士の協力義務が定められています。
こどもの人格の尊重
父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもの心身の健全な発達を図るため、こどもを養育する責務を負います。
その際には、こどもの意見に耳を傾け、こどもの人格を尊重しなければなりません。
こどもの扶養
父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもが親と同程度の生活ができるように、生活費(扶養)を負担しなければなりません。
父母間の人格尊重・協力義務
父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもの利益のために親同士がお互いを尊重し協力しなければなりません。
次のような行為は、この義務に違反する場合があります。違反した場合は、親権者の指定又は変更の審判、親権喪失又は親権停止の審判等において、その違反の内容が考慮される場合があります。
(注意)身体的・精神的DVや虐待等から逃げるなど、正当な理由がある場合は、該当しません。
●父母の一方から他方への暴行、暴言、脅迫など心身に悪影響を及ぼす言動や誹謗中傷
●別居親が、同居親に対して日常的な養育に不当に干渉すること
●父母の一方が、特段の理由なく他方に無断でこどもを転居させること
●親子交流(裁判所などで決まったこどもと別居親との交流)を、特段の理由なく拒否すること
2.親権・監護等に関するルールの見直されました
離婚後の親権について
これまで、離婚すると親権は父母のどちらか一人だけしか持てませんでした。
今回の改正により、次の2つの方法から選べるようになります。
単独親権
父母のどちらか一方だけが親権を持つ(これまでと同様)
共同親権
父母の両方が親権を持つ
親権の決め方について
協議離婚の場合
父母の話し合い(協議)で、共同親権にするか、単独親権にするか決めます。
話し合いで決まらない場合や裁判離婚の場合
家庭裁判所が共同親権にするか、単独親権にするか決めます。
この際、父母とこどもの関係や、父と母との関係など様々な事情を考慮されます。
親権を共同にすることでこどもに悪い影響があると家庭裁判所が判断した場合(例:DVや虐待がある場合など)は、単独親権と決めることとされています。
親権の行使について
父母が共同親権を持つことになった場合、「すべてのことを二人で決めないといけないの?」と心配になるかもしれません。
法務省は、単独で行使できること、共同で行使することについて、次のように示しています。
| 行為・事項 | 単独・共同 | 具体的な内容 |
| 日常の行為 | 単独行使可 | 監護(こどもの世話)や教育に関する日常的なことは、共同親権でも一人で決めることができます。 ●食事や服装の決定 ●短期間の観光目的での旅行 ●通常のワクチン接種 ●習い事 ●アルバイトの許可 など |
| 特定の重要な事項 | 共同行使 | こどもの将来に大きく関わることは、二人で話し合って決めることが原則です。 ●こどもの転居 ●進路に影響する進学先の決定(高校に進学せずに就職するなどの判断を含む) ●心身に重大な影響を与える医療行為の決定 など |
| 急迫の事情 | 単独行使可 |
急いで対応しないとこどもの利益に悪影響がある場合は、一人で決めることができます。 |
3.養育費の支払い確保に向け見直しがされました
養育費とは
養育費とは、こどもを監護・教育するために必要な費用のことをいいます。
一般的には、こどもが経済的・社会的に自立するまでに要する費用を意味し、衣食住に必要な経費、教育費、医療費などがこれに当たります。
養育費の詳細については、法務省をホームページをご確認ください。
【法務省ホームページ】養育費
新しい法律では、養育費を払わない人から、もっと確実にお金が受け取れるようにするため、以下のの仕組みが強化されています。
「法定養育費制度」の導入(金額を決める前の緊急対策)
離婚のときに養育費の取り決めがなかった場合でも、こどもを監護している親は、相手に対し、離婚の日から一定期間、すぐ養育費を請求できます。
この請求できる金額は、こどもが最低限の生活を送るために必要な標準的な費用を勘案して法務省令で定められます。
法定養育費は、あくまでも養育費の取り決めをするまでの暫定的・補充的なものです。こどもの健やかな成長を支えるためには、父母の協議や家庭裁判所の手続により、各自の収入などを踏まえた適正な額の養育費の取り決めをしていただくことが重要です。
相手のお金に関する情報を集めやすくなる(情報開示命令)
養育費や婚姻費用の分担、財産分与の話し合いや裁判の際に、家庭裁判所が、当事者に対して収入情報の開示を命令できるようになりました。
差し押さえの手続きがスムーズに(ワンストップ化)
養育費を請求するための民事執行の手続においては、地方裁判所に対する1回の申立てで
(1)財産開示手続:養育費の支払義務者は、その保有する財産を開示しなければならない
(2)情報提供命令:市区町村に対し、養育費の支払義務者の給与情報の提供を命じる
(3)債権差押命令:判明した給与債権を差し押さえる
という一連の手続を申請することができます。
4.安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し
親子交流とは
親子交流とは、こどもと離れて暮らしている父母が、こどもと定期的、継続的に会って話をしたり、いっしょに遊んだり、また、電話や手紙などの方法で交流することです。
親子交流の内容、場所、頻度は、こどもの気持ち、日常生活のスケジュール、生活リズムを尊重するなど、こどもの利益を最も優先して決めることが大切です。
夫婦は離婚することになったとしても、こどもにとっては父母ともにかけがえのない存在です。
こどもは、親子交流を通じて、どちらの親からも愛されていると感じることで、安心感をもつことができます。
なお、相手から身体的・精神的暴力等のDV被害を受けるおそれがあるなど、親子交流をすることがこどもの最善の利益に反する場合、親子交流を行う必要はありません。
親子交流の詳細については、法務省ホームページをご確認ください。
【法務省】親子交流
新しい法律では、親子交流が「こどもの幸せ」のために安全に行われるよう、以下の見直しがされました。
祖父母などとの交流もルールに(親族との交流)
「こどもの利益のために特に必要だ」と家庭裁判所が認めれば、祖父母などの親族と交流することを定めることができます。
婚姻中別居の場合も含め、こどもと離れて暮らす親だけでなく、祖父母などの親族とも、話し合いで交流のルールを決められるようになりました。
DV・虐待に配慮した「試しに会う」制度(試行的実施)
親子交流を始める際、特に過去にDVや虐待があった場合などは、安全性を確認しながら交流を始めるための仕組みが整えられました。
試行的実施とは、裁判所での手続中に、こどもの心身に問題がないことを確認したうえで、試験的に交流を実施してみることを促す仕組みです。
婚姻中別居の場合の交流も明確に
これまで、婚姻中別居(結婚したまま別居している)の場合の親子交流については、法律のルールが不明確でした。
今回の改正では、婚姻中別居の場合の親子交流について、次のようなルールを明らかにしています。
1.婚姻中別居の場合の親子交流については父母の協議により定める
2.協議が成立しない場合には、家庭裁判所の審判等により定める
3.こどもの利益を最優先に考慮する
養育費や親子交流に関する相談先
関連ファイル
関連リンク
- 法務省作成動画(YouTube)(外部サイトにリンクします)
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